POLICY ポリシー
教学上の三つの方針(3ポリシー)
共創学部では、以下のポリシーを定めています。
学位授与の方針【ディプロマ・ポリシー】
教育の目的
我々は現在、地球温暖化や生物多様性の減少、突発性豪雨などの異常気象、地震や台風などの自然災害、新興・再興感染症の世界規模での流行、食糧問題、紛争、格差や差別など、人類を含む地球上に暮らす生き物の存在や地球環境そのものの安定、さらには人々が安心して安全に暮らすことができる条件を脅かすような様々な課題に直面しています。これらの課題に対して、IT技術や人工知能(AI)などに代表される先進的な科学技術を活用した解決策が模索されています。これらの先進的な科学技術は、我々の暮らしを豊かに便利にしてくれ、直面する課題の解決に役立つことは間違いありません。ただ一方で、進歩した科学技術そのものが我々の生存を脅かす課題になりかねないことは、福島での原子力発電所の事故や核兵器の問題からも明らかです。現在、我々が直面する課題の解決には、短期的・技術的な解決策を適用するだけではなく、多様な背景を持った人々が協力し、知恵を絞って、工夫して、長期的に取り組むことが求められています。
共創学部では、我々が直面している問題に取り組む意欲を持ち、その解決に貢献できる「共創的課題解決力」を修得した者に、学士(学術)の学位を授与します。
学修目標
- A-1. (主体的な学び)豊かな学識と教養を土台に、自ら進んで課題や問題を創造的・批判的に吟味・検討することができる。
- A-2. (協働)背景や専門の異なる様々な人々と知の交流をおこない、他者と協働して課題や問題に取り組むことができる。
- B-1.(知識・理解)課題の検討と解決に必要となる学問的方法論や概念などについて十分な知識を有し、その知識と課題の関連性について説明することができる。
- B-2.(情報リテラシー)数理やデータサイエンスなどに関する知識を有し、様々な情報を分析・活用することができる。
- C-1-1.(国際コミュニケーション力)背景の異なる様々な人々と、言語や専門の垣根を超えて協力し、理解し合うことができる。
- C-1-2.(能動的学習能力)課題の検討と解決に必要となる知識や能力を主体的に探究することができる。
- C-2-1.(課題検討力)既存の学知を活用し、課題の根源的原因やその解決方法を検討することができる。
- C-2-2.(創造的構想力)ありうべき未来を想像し、新しい社会的価値やイノベーション創出を通じてそこに至る道筋を構想できる。
- C-2-3.(協働実践力)背景の異なる様々な人々との議論や協働を通じて、実現可能な課題の解決方策を立案することができる。
- D.(共創的課題解決力)「国際コミュニケーション力」、「能動的学習能力」、「課題検討力」、「創造的構想力」、「協働実践力」の5つの力を総合して、課題の解決に取り組むことができる。
教育課程・編成の方針【カリキュラム・ポリシー】
ディプロマ・ポリシーを達成するために、別表(カリキュラム・マップ)の通り、教育課程を編成します。
アクティブ・ラーニングを重視する科目(基幹教育セミナー、課題協学)、情報通信技術の活用に必要となる能力の向上を目指す科目(サイバーセキュリティー基礎論)、教養としての言語運用能力修得と異文化理解を目指す科目(学術英語、初修外国語)、専攻教育を通して英語力の修得を目指す科目(専門英語)、専攻教育につながる基礎的知識と様々な学問分野の思考法を学ぶ科目(文系ディシプリン、理系ディシプリン)、ライフスキルの向上を目指す科目(健康・スポーツ)、多様な知識の獲得と学びの深化を目指す科目(総合、高年次基幹教育)などの基幹教育科目を通して、「主体的な学び・協働 (A-1,2)」を培います。
この「学び続けることを幹に持つ、未知な問題や状況にも果敢に挑戦するスピリットと行動力を備えた人」としてのアクティブ・ラーナーとしての資質を基盤として、共創学部では、専攻教育科目を通して、ディプロマ・ポリシーに掲げた「国際コミュニケーション力」、「能動的学習能力」、「課題検討力」、「創造的構想力」、「協働実践力」、及びそれらの5つの能力の修得を通して獲得される、「共創的課題解決力」を次のようなカリキュラム編成によって実現します。
授業科目の区分
基盤的な学びから、発展的・実践的な課題解決に向けた学びへと段階的に高度化させていくために、「共創基礎科目」、「構想科目(アプローチ科目、共創基礎演習、レクチャーシリーズ)」、「共創科目(課題科目、共創発展演習、ディグリープロジェクト)」、「協働科目」、「経験科目」という授業科目の区分を設定しています。
「構想科目(アプローチ科目)」は課題の分析と検討に必要となる専門的な知識を修得する科目であり、人文・社会、自然科学、学際の3つのカテゴリーに区分して提供します。「共創科目(課題科目)」は、共創学部教育の共通テーマとして掲げている「地球の持続可能性」を深く考えるための科目であり、地球的・人類的課題の複雑化を考慮した5つの領域(「人間・生命」、「人と社会」、「国家と地域」、「地球・環境」、「領域横断」)を設定しています
カリキュラムの構造
共創学部における学びの基礎となる「国際コミュニケーション力」(C-1-1)、および課題の検討・解決に必要となる学問的方法論の知識・理解の修得を目指す「知識・理解」(B-1)は、基幹教育科目とそれに続く2年次の「共創基礎科目」、「構想科目(アプローチ科目)」を中心とした科目群を通して身に付けます。加えて、課題の分析と検討に共通して必要となる「情報リテラシー」(B-2)も、同時期に履修する科目群を通して修得します。
「能動的学習能力」(C-1-2)は、1年次、2年次に提供する「共創基礎科目」「構想科目(アプローチ科目)」によって、幅広い視点と基本的な思考プロセスを獲得することで身に付けます。
「課題検討力」(C-2-1)は、2年次以降に提供する「構想科目(アプローチ科目、共創基礎演習、レクチャーシリーズ)」を通して、課題の分析と検討のための多様な学問的アプローチを修得することで身に付けます。
「創造的構想力」(C-2-2)は、3年次以降に提供する「共創科目(課題科目)」を通して、課題解決に至る道筋を様々な学知を組み合わせ、試行錯誤しながら考えることによって身に付けます。
「協働実践力」(C-2-3)は、「協働科目」と「経験科目」を通して育成します。「協働科目」は、基幹教育科目における「協働」を発展的に具体化させるために、TBL/PBLの手法を用いてグループで課題に取り組むことにより、個々人の知識や得意とする分野を活かしつつ、他者と協働して課題の解決に向けた手法や技法を学ぶことを目的としています。「経験科目」は、日本人学生には海外大学等への一定期間の留学等、外国人留学生には原則として日本国内企業等におけるインターンシップを必須として課すものです。
これらの「協働科目」「経験科目」は、異なる歴史的・文化的背景や価値観を理解し、言語能力(語学力)とコミュニケーション能力の向上を通じて、「国際コミュニケーション力」を発展的に高度化させることにも繋がります。
「共創的課題解決力」とは、他者との協働や留学などの経験を通じて、様々な学問的方法論を有機的かつ最適に連携させることにより、将来的な課題の解決に創造的に取り組む能力を指します。共創学部での学修を通じて身に付けたこの力を活用し、「共創科目(共創発展演習、ディグリープロジェクト)」で自らが設定した課題に取り組むことによって達成します。
【継続的なカリキュラム見直しの仕組み(内部質保証)】
共創学部のカリキュラムは、4つのレベルに区分して構成しています。
- 「入門レベル」:基本的な学びの姿勢(能動的学習能力)と外国語コミュニケーション能力(国際コミュニケーション力)の基礎を修得するレベルで、原則として1年次に履修します。
- 「基礎レベル」:課題に協働して取り組む上で必要となる能力の基礎 (協働実践力)と、課題を分析する上で必要となる方法論の基礎(課題検討力)を修得するするレベルで、原則として2年次に履修します。
- 「応用レベル」:課題分析に必要となる方法論に関する発展的知識・技能(課題検討力)を修得し、様々な学知を組み合わせて協働して課題に取り組む力(創造的構想力、協働実践力)を獲得するレベルで、主として3年次以降に履修します。
- 「共創レベル」:修得した5つの能力(国際コミュニケーション力、能動的学習能力、課題検討力、創造的構想力および協働実践力)の統合によって共創的課題解決力の具体化を行うレベルと位置づけ、最終年次に履修します。
入学者受入れの方針【アドミッション・ポリシー】
求める学生像
国立大学法人九州大学では、本学教育憲章の理念と目的を達成するために、高等学校等における基礎的教科・科目の普遍的履修を基盤とし、大学における総合的な教養教育や専門基礎教育を受け、自ら学ぶ姿勢を身に付け、さらに進んで自ら問いを立て、創造的・批判的に吟味・検討し、他者と協働し、幅広い視野で問題解決にあたる力を持つアクティブ・ラーナーへと成長する学生を求めている
共創学部では次の資質や能力、態度をもった学生を国内外から積極的に受け入れる。
「主体的学習態度」:課題の検討や課題の将来的な解決に必要となる様々な学知や技能を主体的に探究し、身に付けようとする態度を持っている。
「協働への強い意欲」:背景や考え方が異なる人と進んで協力し、共に問題の解決に取り組むことへの強い意欲を持っている。
「批判的思考力」:既存の学知や自らの考えを常に批判的に検討し、その誤りを修正し、より良いものへと改善していこうとする思考態度を持っている。
「国際的視野」:世界の様々な人とともにより良い未来を築くことと、そのために必要となる語学力を磨くことに対する強い意欲を持っている。
求める学生像と学力3要素との関係
- 知識・技能:高等学校等における基礎的教科・科目の履修を通して獲得される知識・技能。特に国際社会で生じている出来事に対する強い関心と、世界を舞台に活動することに対する強い意欲、および、これらを実現するために必要となる語学力。
- 思考力・判断力・表現力等の能力:物事を多角的・批判的に考え、自らの考えを自分の言葉で人に伝える資質。常に自らを省み、失敗や間違いを認め、そこから学ぼうとする意欲。
- 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度:多様性を尊重する態度、異なる考えに共感する寛容性、他者から進んで学ぼうとする態度。世界が直面している様々な課題の将来的な解決に向けて、背景や考え方の異なる様々な人々と進んで協働する姿勢。
入学者選抜方法との関係
共創学部では「知識を問う入試から能力を見極める入試への転換」を掲げ、志願者の能力を複数の観点から見極めるために、次に挙げる4つの方針に基づいて入学者選抜を実施する。
- 4種類の選抜試験
共創学部が求める学生像の観点から、志願者の能力や態度等を見極めるために、「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」「国際型入試」の4種類の選抜試験を実施する。また、それぞれの入試類型の中でも複数の観点を組み合わせ、志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する。 - 文理共通問題
一学部一学科の学部として、文理共通の試験問題を課す(留学生に対する試験を除く)。理系クラスで学んできた志願者も、文系クラスで学んできた志願者もどちらも解答可能な問題を用意し、いずれかが不利になることのないよう配慮する。 - 志望理由書
すべての入試類型で「志望理由書」の提出を求め、学部への理解や適性などを確認する。 - 障害等のある者に対する合理的配慮
共創学部の受験にあたり、受験上の配慮や支援を必要とする場合、入学後に配慮や支援を必要とする場合の事前相談を受け付け、合理的配慮を検討する。
求める学生像と学力3要素と入学者選抜方法との関係については、「選抜方法に関する別表」のとおりである。
選抜方法に関する別表
①知識・技能 | ②思考力・判断力・表現力等の能力 | ③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度 | |
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