このエリアで考えること
21世紀に入り、世界の地域や国々は様々な問題に直面しています。SARSや新型インフルエンザ、新型コロナウィルスなどの感染症によるパンデミックが我々の生命と生活を脅かし、中国などの新興国の台頭は世界や地域の富と力の分布を変えつつあります。また、グローバル化により世界の経済が一体化しつつある一方で、国や地域の間の格差は拡大しています。こういった課題は、現代のわれわれが取り組むべき新しい問題であると同時に、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』からも明らかであるように、人類の歴史と共にある古い問題でもあります。このエリアでは、これらの人類が直面する古くて新しい課題に対して、その原因を探り、解決策を模索する視座と方法を提供します。
このエリアで何が学べるか
国や地域が直面している課題の解明と解決には、様々な要因を解きほぐし、複雑な利害関係の調整が必要となります。そのため、一つの方法論だけではその原因を探ることも、実効性のある解決策を提示することもできません。このエリアでは複雑な現代の諸課題に対して、主に政治、経済、歴史、地域の4つのアプローチを使って挑みます。課題の実態を考える際、政治体制や国際関係、開発や経済の進展具合などの政治、経済の知識が欠かせません。また同じ課題でも地域によって現れ方が異なり、それを分析するためには地域の特徴を理解することも重要です。そして、現在生じている変化をより長期の歴史の文脈の中に位置づけ、巨視的な立場からその特徴をつかみ、解決策を考えることも不可欠です。このエリアでの学びを通じて、これらの視点を身につけましょう。
エリアの特色
このエリアの特徴は、政治学、経済学、歴史学、地域研究の方法論を身につけるだけではなく、それぞれをもとに皆さん自身の考え方を形作ってもらうことを目的としていることにあります。政治学や国際関係論は文献の購読や実際のケースの分析を通じて、人間の営みとしての政治活動がどのようなものであるのかを考えていきます。経済学では経済理論だけではなく、データを使った解析を通じて、経済活動の実態や開発などに関わる諸課題へのアプローチの仕方を身につけます。歴史学も地域や世界の歴史を文献購読や歴史遺物を実際に見てみることなどを通じて学びながら、歴史的に考える姿勢や視座を養います。そして地域研究については、地域間比較を通じて様々な地域の特徴を明らかにし、現場の課題を考える上で必要となる視点を身につけてもらいます。