九州大学共創学部

人と社会エリア People and Society Area

このエリアで考えること

人は社会を形成して生きてきました。社会は、二人以上の人が相互交渉、コミュニケーションを通じてお互いの思考と行動を調整することによって生み出され、人々がお互いに対する認識を形成し、深めてゆくことによってダイナミックに存在し続けます。

コミュニケーションは様々な状況のもとで行われます。そこでは人々のそれぞれ共通点を持ちつつ異なる経験、記憶、志向性、欲望などが交錯し、それらを通じて人々を取り巻く自然と文化と社会と歴史、政治や経済や宗教や芸術と人々との結びつき、そのあり方がつくられ、確かめられ、変化してゆきます。

私たちが社会的存在としてよりよく生きるためには、このように複雑で多様なものごとたちに目を配り、それらが私たちの中で、私たちが構成する様々な集団や組織の中でどのように現れ、どのように用いられ、何を可能にし、また困難にしてきたのか/しているのかを理解することが必要です。また、そのような理解に基づいて、私たちが生きる社会と世界をより良いものとしてゆくための方策を考えることも大切です。また、そもそも私たちと社会にとって良きこととはいったい何なのか、私たち一人一人と、私たちが形作る様々な集団、組織、社会にとって、それらの良き在り方とはいったい何なのか、についても考えなければなりません。

このエリアで何が学べるか

人と社会エリアでは、上に述べたような複雑かつ複合的な問題に、社会哲学的観点、コミュニケーション論の観点、健康・福祉・開発論の観点、国際協力・人権論の観点、文化人類学的観点、先史学・考古学的観点からアプローチすることを通して、みなさんとともに学び、答えを模索してゆきます。

例えば、社会には人間の手では容易に解決し難い根本的な問題が存在してきました。共生、教育、平和、正義などに係る問題は、歴史のはじめから存在した課題ともいえます。人間はいかにして共に生きることができるのか。いかにして教育されるべきなのか。国内や国家間における平和と正義をいかにして維持することができるのか。これらを社会哲学的観点から考えます。

私たちの日常のコミュニケーションは主に言語を介して行われます。しかし、ことばやコミュニケーションの仕組みや機能について本格的に考える機会は限られています。「言語」とそれを用いて行われる「コミュニケーション」を客観的に捉え、その仕組みを理解し、効果的な言語伝達を行うために何が必要なのか。コミュニケーション学の観点から学びます。

また、人種、民族、宗教、文化、伝統、ジェンダーなど多様な価値観が混在する現代社会において、多文化共生と幸福な生き方(well-being)をどのように追求することが可能でしょうか?人類の誕生から今日にいたる展望と広い視野からこれからの社会のあり方を、社会福祉学、政治学、文化人類学、考古学的観点から考察します。

エリアの特色

「人と社会」エリアにおいては、私たちが社会的存在として今日の社会と世界においてよりよく生き、それらをより良いものとしてゆくとはどのようなことなのか、そのために何ができるのかを、様々な学問的観点から、また、それら学問の垣根をこえた観点から、みなさんとともに考えてゆきます。超領域的アプローチ、学融合的アプローチは共創学部全体の特色でありますが、「人と社会」エリアにおいてもそれらが最も大きな特色といえるでしょう。そして、時間と空間の垣根を超えたアプローチも、これらに付け加えておきましょう。