POLICY ポリシー
教学上の三つの方針(3ポリシー)
共創学部では、以下のポリシーを定めています。
学位授与の方針【ディプロマ・ポリシー】
教育の目的
人類は今、歴史上かつてないほど大きな変化の時代に生きている。これは急激に進む科学技術の進歩や、グローバル化の進展などの影響で、ヒトを含む生命や社会、国や地域、そして地球環境の「在り方」が、大きく変動していることに由来している。この変化は、人工知能(AI)やIoT の活用など、人類に新しい可能性を拓く一方で、大規模地球変動、生物多様性の減少、宗教・民族対立、テロ、越境犯罪、貧困・格差、エネルギー資源問題、食料問題など様々な問題を引き起こしている。これらの問題の多くは種々の要因が複雑に絡まりあって生じているために、今までの学問体系のどれか一つだけを使って解決することは、極めて困難である。今こそ、これまで人類が積み上げてきた様々な学知を適切に組み合わせ、我々が直面している課題を解決し、新たな未来を切り開くことが求められている。
共創学部では、現代社会が直面している問題に取り組む意欲を持ちその解決に貢献できる「共創的課題解決力」を修得した者に、学士(学術)の学位を授与する。
参照基準
共創学部では、ディシプリンベースを基本とした専門教育とは一線を画し、個々の学生が設定する課題と、その解決を目指すために必要となる専門的知識:技能を修得しながら、それらを活用し、更には組み合わせることによって、課題解決への新たなアプローチと方法論を創出する「共創的課題解決力」という専門性の獲得を目指している。したがって、従来の学問体系ごとの参照基準を引用することは適切ではなく、共創学部の教育体系とその理由を比較的よく説明している以下の資料を参照基準とする。
- 中央教育審議会「2040 年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」平成30年11月26日
(https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2018/12/20/1411360_1_1_1.pdf)
学修目標
- A-1. (主体的な学び)深い専門的知識と豊かな教養を背景とし、自ら問題を見出し、創造的・批判的に吟味・検討することができる。
- A-2. (協働)多様な知の交流を行い、他者と協働し問題解決にあたることができる。
- B-1.(知識・理解)課題解決に必要となる基礎科学及び応用科学についての十分な知識について理解し、実社会の課題に結び付けて説明することができる。
- B-2.(情報リテラシー)数理・データサイエンス等を基盤的リテラシーと捉え、文理を越えて共通に理解し、説明することができる。
- C-1-1.(デザイン思考)新しい社会的価値やイノベーション創出のための課題発見および解決を目指すアプローチを構想できる。
- C-1-2.(国際コミュニケーション力)解決策の実行のために世界の多くの人にその内容を説明し、理解と協力を得ることのできるコミュニケーション能力を持っている。
- C-1-3.(能動的学習能力)自らの課題意識を持ち、その課題を解決するために必要となる知識や能力を能動的に探究することができる。
- C-2-1.(課題構想力)現実の問題に対応するため適切に課題を設定し、既存の学知を組み合わせて解決方策を提案することができる。
- C-2-2.(協働実践力)構想した課題解決方策について他者と議論し、他者の知見や能力をも組み合わせる形で協働して、実現可能な解決方策を提案することができる。
- D.(共創的課題解決力)「能動的学習能力」、「課題構想力」、「協働実践力」、「国際コミュニケーション力」の4 つの力を総合して、実社会の課題解決に取り組むことができる。
教育課程・編成の方針【カリキュラム・ポリシー】
ディプロマ・ポリシーを達成するために、別表(カリキュラム・マップ)の通り、教育課程を編成する。
アクティブ・ラーニングを重視する科目(基幹教育セミナー、課題協学)、ICT 国際社会に必要な能力の向上を目指す科目(サイバーセキュリティー基礎論)、教養としての言語運用能力修得と異文化理解を目指す科目(学術英語、初修外国語)、専攻教育を通して英語力の修得を目指す科目(専門英語)、専攻教育につながる基礎的知識と様々な分野の思考法を学ぶ科目(文系ディシプリン、理系ディシプリン)、ライフスキルの向上を目指す科目(健康・スポーツ)、多様な知識の獲得と学びの深化を目指す科目(総合、高年次基幹教育)などの基幹教育科目を通して、「主体的な学び・協働 (A-1,2)」を培う。
この「学び続けることを幹に持つ、未知な問題や状況にも果敢に挑戦するスピリットと行動力を備えた人」としてのアクティブ・ラーナーとしての資質を基盤として、共創学部では、専攻教育科目を通して、ディプロマ・ポリシーに掲げた「能動的学習能力」「課題構想力」「協働実践力」「国際コミュニケーション力」、及びそれらの4 つの能力の修得を通して獲得される「共創的課題解決力」を次のようなカリキュラム編成によって実現する。
授業科目の区分
基盤的な学びから、発展的・実践的な課題解決に向けた学びへと段階的に高度化させていくために、「共通基礎科目」「構想科目(エリア基礎科目、エリア横断科目)」「共創科目(エリア発展科目、ディグリープロジェクト)」「協働科目」「経験科目」という授業科目の区分を設定している。
エリアとは、共創学部教育の共通テーマとして掲げている「地球の持続可能性」にアプローチするための学問的領域を指し、地球的・人類的課題の複雑化を考慮した4つの領域(「人間・生命エリア」、「人と社会エリア」、「国家と地域エリア」、「地球・環境エリア」)を設定している。「構想科目-エリア基礎科目」では、各エリアの基となる知識、「構想科目-エリア横断科目」では、エリアを横断する境界領域の知識、「共創科目-エリア発展科目」では、エリアに固有でより専門的な知識を修得することが期待される。
カリキュラムの構造
共創学部における学びの基礎となる「国際コミュニケーション力」(C-1-2. 解決策の実行のために、世界の多くの人にその内容を説明し、理解と協力を得ることができる)、及び基礎科学の専門的な知識・理解の修得を目指す「知識・理解」(B-1.課題解決に必要となる基礎科学及び応用科学についての十分な知識について理解し、実社会の課題に結び付けて説明することができる)は、基幹教育科目とそれに続く2 年次の「共通基礎科目」、「構想科目(エリア基礎科目・エリア横断科目)」を中心とした科目群を通して身に付ける。加えて、社会的課題の解決に共通して必要となる「情報リテラシー」(B-2.数理・データサイエンス等を基盤的リテラシーと捉え、文理を越えて共通に理解し、説明することができる)、社会的価値やイノベーション創出に必要となる「デザイン思考」(C-1-1.新しい社会的価値やイノベーション創出のための課題発見および解決を目指すアプローチを構想できる)も、同時期に履修する科目群を通して修得する。
「能動的学習能力」(C-1-3.自らの課題意識を持ち、その課題を解決するために必要となる知識や能力を能動的に探究することができる」は、1 年次後半以降に提供する「共通基礎科目」「構想科目(エリア基礎科目・エリア横断科目)」によって、幅広い視点と基本的な思考プロセスを獲得することで身に付ける。
「課題構想力」(C-2-1.現実の問題に対応するため適切に課題を設定し、既存の学知を組み合わせて解決方策を提案することができる)は、2 年次以降に提供する「構想科目(エリア基礎科目)」と3 年次に提供する「共創科目(エリア発展科目)」を通して、課題解決のための多様な学問的アプローチを修得することで身に付ける。
「協働実践力」(C-2-2.構想した課題解決方策について他者と議論し、他者の知見や能力をも組み合わせる形で協働して、実現可能な解決方策を提案することができる)は、「協働科目」と「経験科目」を通して育成する。「協働科目」は、基幹教育科目における「協働」を発展的に具体化させるためにTBL/PBL の手法を採用し、グループでさまざまな領域の複合した課題に取り組むことにより、個々人の知識や得意とする分野を活かしつつ、他者と協働して課題の解決に向けた手法や技法を学ぶことを目的としている。「経験科目」は、日本人学生には海外大学等への一定期間の留学等、外国人留学生には原則として日本国内企業等におけるインターンシップを必須として課すものである。
これらの「協働科目」「経験科目」では、異なる歴史的・文化的背景や価値観を理解し、言語能力(語学力)とコミュニケーション能力を向上させるものであることから、「国際コミュニケーション力」を発展的に高度化させることにも繋がる。
「共創的課題解決力」(D.「能動的学習能力」、「課題構想力」、「協働実践力」、「国際コミュニケーション力」の4 つの力を総合して、実社会の課題解決に取り組むことができる)とは、以上の4 つの能力の修得を通して、ディシプリンベースの様々な方法論を他者との協働を通じて有機的かつ最適に連携させることにより課題解決に創造的に取り組む能力を指し、自分で設定した課題に対して、課題の解決策切り口として定めるエリアを軸足にして創造に取り組む「共創科目-ディグリープロジェクト」によって達成する。
【継続的なカリキュラム見直しの仕組み(内部質保証)】
カリキュラムは、4つのレベルに区分して構成している。
- 「入門レベル」:基本的な学びの姿勢(能動的学習能力)と外国語コミュニケーション能力(国際コミュニケーション力)の基礎を修得するレベルで、原則として1年次に履修する。
- 「基礎レベル」:基盤とするエリアを模索し(課題構想力)、志望する基盤エリアに関する基礎知識・技能の活用方法(協働実践力)の基礎を修得するとともに、これらをあらかじめ設定された状況下での活用を体験するレベルで、原則として2年次に履修する。
- 「応用レベル」:基盤エリアに関する発展的知識と技能を修得し、これらを応用する方法論(協働実践力)を獲得するレベルで、主として3年次以降に履修する。
- 「共創レベル」:修得した4つの能力(能動的学習能力、課題構想力、協働実践力および国際コミュニケーション力)の統合によって共創的課題解決力の具体化を行うレベルと位置づけ、最終年次に履修する。
当該レベルに対応する学修目標の達成度は、それぞれの履修時期の終盤に、以下の方針(アセスメント・プラン)に基づいて、それぞれの学修プロセスに応じて評価し、その評価結果に基づいて、授業科目内の教授方法や授業科目の配置等の改善の必要を「共創学部教務委員会」において検討することで、教学マネジメントを推進する。
アセスメント・プラン
共創学部では、ディプロマ・ポリシーに掲げた4つの能力、すなわち、「能動的学習能力」「課題構想力」「協働実践力」「国際コミュニケーション力」と、最終的にこれらを統合した「共創的課題解決力」の達成状況を評価する5つの「基本ルーブリック(one point rubric)」を設定し、すべての専攻教育科目のルーブリックは、各科目が担うディプロマ・ポリシーに対応した基本ルーブリックを、教育現場で活用するために具体化した形式で準備している。このため、5つのディプロマ・ポリシーに対応する個別の授業科目の学習到達度の評価そのものが、それぞれのディプロマ・ポリシーに対するアセスメント・プランとしての役割を果たし、共創学部における教育の質的保証を支持することになる。
具体的には、到達度の最終アセスメントを行うに当たり、次のように各学修レベルでのアセスメントを学修プロセスに基づきながら行う。
(1)「入門レベル」の達成度評価:基幹教育科目および共通基礎科目の成績評価とともに、基幹教育の授業アンケート結果、チュートリアルにおける学修報告書・学修計画書の記述内容の分析結果を確認する。
(2)「基礎レベル」の達成度評価:共通基礎科目、構想科目-エリア横断科目・エリア基礎科目、協働科目-共創基礎プロジェクト科目の成績評価とともに、各授業の聴講学生数と出席状況、専攻教育の授業アンケート結果に基づいて確認する。
(3)「応用レベル」の達成度評価:共創科目-エリア発展科目・ディグリープロジェクト1、協働科目-共創プロジェクト科目、経験科目、およびエリア発展科目の成績評価とともに、修学ナビゲーターへの修学相談状況、主エリアの選択確定状況に基づいて確認する。
(4)「共創レベル」の達成度評価:ディグリープロジェクト3でのプレゼンテーションにおける発表内容とともに、課題の解決策の創造を行う共創科目-ディグリープロジェクト2・3の成績評価に基づいて確認する。
入学者受入れの方針【アドミッション・ポリシー】
求める学生像
国立大学法人九州大学では、本学教育憲章の理念と目的を達成するために、高等学校等における基礎的教科・科目の普遍的履修を基盤とし、大学における総合的な教養教育や専門基礎教育を受け、自ら学ぶ姿勢を身に付け、さらに進んで自ら問いを立て、創造的・批判的に吟味・検討し、他者と協働し、幅広い視野で問題解決にあたる力を持つアクティブ・ラーナーへと成長する学生を求めている。
共創学部では次の資質や能力、態度をもった学生を国内外から積極的に受け入れる。
「主体的自律性」:創造的な学びのテーマを自ら設定し、既存の学問の枠組みを超えて、必要となる生きた知識や有用な技能を獲得しようとする主体的な態度を持っている。
「協働的学習能力」:科学的探究活動や社会活動などについて優れた資質と豊富な経験を持ち、他者と協力しながら実効性のある活動を進めていくことのできる協働的な姿勢を持っている。
「多角的思考力」:既存のさまざまな学問分野の基礎と応用を幅広く修得し、高度で複雑な社会的課題の解決のためにこれらの知を批判的に活用し統合できる思考力を持っている。
「国際的視野」:国際社会に対する強い関心と多様な経験を有するとともに、世界を舞台にした活動に対する強い意欲を持ち、これを実際に実現するための高い語学力を持っている。
求める学生像と学力3要素との関係
- 知識・技能:高等学校等における基礎的教科・科目の履修を通して獲得される知識・技能。加えて、特に国際社会に対する強い関心と多様な経験、世界を舞台にした活動に対する強い意欲、および、これらを実現するための高い語学力。
- 思考力・判断力・表現力等の能力:多面的に考え、客観的に批判し、自分の言葉で人に伝える資質。加えて、既存のさまざまな学問分野の基礎と応用を幅広く修得し、高度で複雑な社会的課題の解決のためにこれらの知を批判的に活用し統合できる思考力。
- 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度:多様性を尊重する態度、異なる考えに共感する寛容性。加えて、創造的な学びのテーマを自ら設定し、既存の学問の枠組みを超えて必要となる生きた知識や有用な技能を獲得しようとする主体的な態度、科学的探究活動や社会活動などについて優れた資質と豊富な経験を持ち、他者と協力しながら実効性のある活動を進めていくことのできる協働的な姿勢。
入学者選抜方法との関係
共創学部では「知識を問う入試から能力を見極める入試への転換」を掲げ、志願者の能力を複数の観点から見極めるために、次に挙げる4つの方針に基づいて入学者選抜を実施する。
- 4種類の選抜試験
共創学部が求める学生像の観点から、志願者の能力や態度等を見極めるために、「総合型選抜」「学校推薦型選抜」「一般選抜」「国際型入試」の4 種類の選抜試験を実施する。また、それぞれの入試類型の中でも複数の観点を組み合わせ、志願者の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価する。 - 文理共通問題
一学部一学科の学部として、文理共通の試験問題を課す(留学生に対する試験を除く)。理系クラスで学んできた志願者も、文系クラスで学んできた志願者もどちらも解答可能な問題を用意し、いずれかが不利になることのないよう配慮する。 - 志望理由書
これまでにない新しい学部であることを鑑み、すべての入試類型で「志望理由書」の提出を求め、学部への理解や適性などを確認する。 - 障害等のある者に対する合理的配慮
共創学部の受験にあたり、受験上の配慮や支援を必要とする場合、入学後に配慮や支援を必要とする場合の事前相談を受け付け、合理的配慮を検討する。
求める学生像と学力3要素と入学者選抜方法との関係については、「選抜方法に関する別表」のとおりである。
選抜方法に関する別表
①知識・技能 | ②思考力・判断力・表現力等の能力 | ③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度 | |
---|---|---|---|
総合型選抜 | 調査書 活動歴報告書 講義レポート 小論文 |
志望理由書 講義レポート 小論文 集団討論 個人面接 |
調査書 志望理由書 活動歴報告書 集団討論 個人面接 |
学校推薦型選抜 | 推薦書 調査書 活動歴報告書 大学入学共通テスト |
推薦書 志望理由書 活動歴報告書 プレゼンテーション 個人面接 |
推薦書 調査書 志望理由書 プレゼンテーション 個人面接 |
一般選抜 | 調査書 大学入学共通テスト 個別学力検査 |
志望理由書 個別学力検査 小論文 |
調査書 志望理由書 小論文 |
国際型入試 | 個別学力検査または日本留学試験等 | 個別学力検査または日本留学試験等 志望理由書 個人面接 |
志望理由書 個人面接 |